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最高裁判所第二小法廷 昭和42年(オ)1118号 判決 1968年2月16日

上告人

株式会社山陽商事

右訴訟代理人

弘田達三

被上告人

藤田武雄

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人弘田達三の上告理由について。

原判決は、竹重は、加藤から本件建物の所有権を譲り受けたことがないのに擅に登記簿上の所有名義を自己に移転したうえ、債務者の交替による更改契約をし、新債務の担保のため本件建物を提供し、これに抵当権を設定したこと、右根抵当権が実行されて上告人が競落したことを認定しており、右認定は挙示の証拠関係に照らして是認できなくはない。

右認定事実によれば、右根抵当権は、所有者でない竹重が設定契約をしたもののであるから、無効であり、無効の抵当権が実行されても競落人は抵当物件の所有権を取得するに由ないのであるから、該抵当権実行による競落人である上告人は本件建物の抵当権を取得していないものというべきである。原判決の判断は正当であつて、論旨はすべて理由がない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。(奥野健一 草鹿浅之介 城戸芳彦 色川幸太郎)

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